歌ってみたのMIX依頼を受ける際、できる限りの調整や加工は行いますが、どうしても技術的に修正が難しいポイントがあります。今回は、具体的な例を挙げて解説します。
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1. ノイズ
環境音やマイクのノイズは、ある程度の除去が可能です。しかし、以下のようなケースでは限界があります。
- 録音中のエアコンや換気扇の音
→ 周波数が被ると、音質も一緒に削れてしまうことが多いです。 - 服やマイクスタンドに触れる音
→ 突発的なノイズは、完全に消すのは難しいです。 - 部屋鳴りのボワボワ音
→部屋に吸音する物が無いと反響音も一緒に収録されてしまいます。
対策: 録音環境を見直し、マイクのセッティングを工夫することが重要です。
2. 歌詞間違い
歌詞を間違えた場合、MIXでの修正はできません。特に、完全に異なる言葉を歌ってしまうと、修正は不可能です。
対策: 録音前に歌詞をしっかり確認するか、歌詞カードを用意しましょう。
3. ニュアンス
声の表現力や感情のニュアンスは、MIXでは変えられません。音量やエフェクトでの補正は可能ですが、歌い方そのものを変えることはできないため、意図と異なるニュアンスのままでは修正できません。
対策: 録音前に曲のイメージを明確にし、表現したい感情を意識しましょう。
4. オケの一部修正
歌に合わせてオケのテンポやキーを変更することはできますが、オケ自体の一部をMIXで直すことはできません。例えば、特定の楽器のフレーズを変える、音を追加するなどは、MIXの範囲外です。
対策: オケのデータを提供してくれた制作者に相談するか、アレンジを依頼しましょう。
5. 音程の大幅なズレ
軽度な音程修正(ピッチ補正)は可能ですが、音程が大きく外れている場合や、全体的にフラット/シャープしている場合は、修正すると不自然になることがあります。
対策: 録音時に音程を意識して何度もテイクを重ねることが重要です。
6. リズムのズレ
タイミングが大きくズレている場合、編集で揃えることはできますが、無理に修正すると違和感が生じることがあります。特に、感情を込めた歌い方でのズレは、修正が難しいです。
対策: メトロノーム(クリック)やオケをしっかり聞きながら録音することを心掛けましょう。
7. 発音や滑舌の問題
特定の言葉が聞き取りづらい場合、MIXで補正するのは難しいです。特に早口の歌詞や難しい言葉の発音が不明瞭だと、歌詞が伝わりにくくなります。
対策: 録音前に発音の練習をする、滑舌を意識して歌うことで防げます。
8. 声質そのもの
声質のキャラクターを大きく変えることは難しいです。エフェクトで加工することはできますが、自然な仕上がりにするためには限界があります。
対策: 自分の声質を活かした曲選びを意識すると良いでしょう。
9. 感情表現の不足
感情がこもっていない歌い方を後から感動的にすることは困難です。ボーカルの熱量が伝わらないと、MIXで演出しても限界があります。
対策: 歌詞の意味をしっかり理解し、感情を込めて歌うことを意識しましょう。
10. がなりの失敗
がなり(シャウトや声を荒げる表現)が不自然だったり、声が裏返ったりしてしまうと、MIXで直すのはほぼ不可能です。
がなりの部分は特にインパクトが重要なので、違和感があると楽曲全体の印象に影響を与えます。
対策: がなりを入れる場合は、事前に練習して安定させるか、複数テイクを録音してベストなものを選ぶようにしましょう。
まとめ
以上、かなり多くなってしまいましたが「MIXで修正不可能なポイント」です。
MIXで何とかなるだろう…と思っている方も結構いらっしゃるかと思いますが、実際には意外と修正できない場合が多いです。
理想のMIXを目指すのであればやはりレコーディング時の細かなミスや音質に気を遣うことが非常に重要です。
もし「自分の収録データは大丈夫かな?」と不安な方がいれば、ぜひご相談ください。
簡単ではありますがアドバイスも可能です。