音楽制作の過程で行われる「ミックス」という作業。
音楽活動をされている方なら耳にする事は多いと思いますが、実際どんなことをしているのか?
疑問に思われる方もいると思います。
今回は僕が実際にミックス依頼を受けて、どんな工程を踏んで作業を行っているか解説したいと思います。
工程①整音作業
先ず頂いたボーカルデータをiZotope RXというソフトで解析。ここでは収録時に入ったノイズの除去や要らない部分をカットしたり、ミックスをする前段階の下準備をします。いわゆる整音作業ですね。
RXは視認性もよく、細かな帯域を削れたりツールも充実していてとても便利です。
工程②ピッチ、タイミング修正
次に、整音したデータをDAWで開き、Melodyneというソフトを使ってボーカルのピッチ、タイミング修正をします。
音は弄りすぎるとケロってしまったり不自然な聞こえ方をしてしまうので、なるべく自然に聞こえるよう上手く補正していきます。
工程③コンプレッサー、EQ、リバーブで調整
ピッチ補正が完了したら次はプラグインを使ってボーカルの音量感などを調整します。
主にコンプレッサーでダイナミクスをコントロールしたり、EQで余計な帯域をカットしていきます。
その後にリバーブなど空間エフェクトのプラグインで音の広がりを出していきます。
オケとボーカルがある程度馴染むように調整するので、場合によってはオケにもEQを挿して邪魔な帯域を削るパターンもあります。
工程④ボリューム、帯域のオートメーション
前の工程でコンプレッサーやEQを使ってある程度まで調整しましたが、曲のセクション、例えば「サビは丁度いい音量だけどA、Bメロが弱く聞こえる」「メロの一音だけキンキンして聞こえる」など、全体を通して聞いたときに違和感が出てきます。
ペンツールを使い、一音一音ボリュームオートメーションを書いていきます。
何度もリプレイし不自然な音量感になっていないかを確認したら次は…
帯域のオートメーションを書いていきます。こちらはfabfilter Pro-MBというマルチバンドコンプを使用します。僕の場合ですが5つの帯域に分割し、帯域の足し引きをオートメーションを細かく書いていきます。
よくあるのが「サビはしっかり音域が足りてるのにAメロだけ低域が足りない」「ある言葉の行だけ高音が出過ぎる」「収録時マイクの距離感がまちまちで安定しない」などがあるので必須ではないですが調整することが多々あります。
もちろん曲やボーカルによってはリバーブ、コンプレッサーもオートメーションを書いたり、とにかくリアルタイムに良く聴こえるように調整していきます。
工程⑤マスタリング
マスタリングとはミキシング作業後、音質、音圧、トータルバランスの最適化などを行う最終過程のことです。
マスタリング用コンプレッサーやEQなどで微調整をしたり、ハードウェアに通してプラグインに出せない空気感や味付けなども足したりブラッシュアップしていきます。
リミッターで曲全体の音圧を上げ、モニタースピーカーで何度も確認し、最適な状態まで持っていけたら完成です!
さいごに
以上、僕が普段行っているミックス工程でした。ざっくりだったので細かな部分は飛ばしてしまっていますが大まかな作業工程を知って頂けたら嬉しく思います。