プラグイン「The God Particle」レビュー
挿すだけで“イイ感じ”になるプラグイン、The God Particle。
発売当初に話題となり、僕も購入してみたのですが、確かに挿すだけで不思議なくらい「イイ感じ」になります。
一体どんな仕組みなのか…。使いながらも謎に感じる部分が多いこのプラグインについて、今回は細部まで調べてみました。ぜひ参考にしてみてください!
Contents
1. The God Particleとは?
The God Particleは、著名なミキシングエンジニアであるJaycen Joshua氏が監修したマスタリングプラグインです。Jaycen Joshua氏は、BeyoncéやJustin Bieberなど、数々のトップアーティストの楽曲を手がけており、彼のサウンドを象徴する特徴である「クリアでパワフルな音圧」を、このプラグイン1つで再現できるように設計されています。
このプラグインの最大の特徴は、「自動で最適化された音作り」ができることです。多くのマスタリング用プラグインが細かいパラメーター調整を必要とする中、The God Particleはユーザーが直感的に操作できるよう、EQ、コンプレッション、リミッターなどを一括管理する設計になっています。まさに“神の粒子”という名前にふさわしく、最小の労力で最大の効果を得ることが可能です。
特徴:
- Jaycen Joshua氏のシグネチャーサウンドを再現
プラグインを挿入するだけで、Jaycen Joshuaが実際に使うプロセッシングが施されます。 - シンプルなインターフェース
音圧の調整は主にThresholdノブだけで行うため、難しい設定は一切不要です。 - 自動マルチバンド処理
マルチバンドコンプレッションやEQが自動的に最適化され、各帯域のバランスを整えます。 - ダイナミクスを保ちながら音圧を上げる
通常のリミッターのように音を潰さず、楽曲の持つエネルギーやニュアンスを維持します。
また、Jaycen氏の哲学として、「音楽の感情を損なわないこと」が重視されており、このプラグインもその精神を体現しています。ミキシングやマスタリングで陥りがちな「過剰な加工」を防ぎ、楽曲が本来持つ力を引き出してくれます。
2. 操作方法
-
プラグインを挿入
The God Particleをマスターバス(マスター出力)にインサートします。 -
amountノブを調整
プラグイン中央のamountノブを回して、音圧を調整します。- ノブを左に回すと、音圧が下がりダイナミクスが広がります。
- 右に回すと音圧が上がり、迫力が増します。
- limiterノブを調整
上げ過ぎるとキャラクターがかなり変わるので一度ゼロにし、徐々に上げていき丁度いい部分で止めます。 -
メーターの確認
波形表示の緑~赤の範囲を参考にしながら、音が適切なレベルに収まるように調整します。赤が多すぎる場合は少し控えめに。 -
出力を確認
必要に応じて、右側のOutputノブで音量を微調整します。
3. 音質への影響と特徴
このThe God Particleですが、一体内部でどんな動きをしているのか、気になったのでプラグインドクターと言うツールで調べてみました。※GIFで挙動をチェックしたので音声はありません。
amount
200Hz~2kHz付近がぐわんと持ち上がっていますね。中高域が上がるのでボーカルが一歩前に出る印象になります。また低域も一緒に上がるので全体的に音圧が上がった感覚になります。
ただ100%以上になると低域だけ下がります。不思議な挙動ですね。
Input
inputはデフォで200Hz~2kHz付近が持ち上がりつつ、0db以上は5kHzからハイカットしたような動きをしてますね。余計な高域をカットしつつボーカルを前に引き上げているような印象です。
high
1kHzから相対的なtilt shelfのような動きをしています。
mid
600~700Hzあたりが変動してますが、低域も変化してますね。
low
300Hzあたりからローカットしたような動きをしてます。
4. メリットとデメリット
メリット
- 何も考えずシンプルな操作で高品質な仕上がりを得られる。
- 挿すだけで音圧が爆上がりしてイイ感じになる。
- ミックスのバランスを自動で最適化してくれる。
デメリット
- 調整できるパラメーターの挙動が難解なので狙った調整が難しい。
- ジャンルによっては潰れ過ぎてしまう。amountで調整しても微妙な時もある。
- CPU負荷がだいぶ高いのでマスター以外では使えない。
5. まとめ
簡単な操作でプロ並みの音質を実現できるThe God Particleは、初心者からプロまで幅広く使えるプラグインです手間をかけずに高音質を追求したい場合に強い味方となります。
僕はデモ提出で簡単に音圧を上げたい時、ロック、EDM系マスタリングでどうしても音圧を稼ぎたい時などに使用しています。
特にLimiterノブは無限に上げたくなるのでやり過ぎ注意です!