楽曲製作の方法は十人十色。使う楽器や機材、鼻歌、譜面から書く人も居るだろう。
もちろん作曲方法に正解や間違えなんて無いと僕は考えている。
そんな作者のアイデアを形にしてくれるDTM無しでは僕も今ほど楽曲製作にのめり込まなかったかも知れない。
昔話になってしまうが学生時代まだDTMが全く普及しておらず(むしろパソコンすら家庭に一台あるかどうかの時)
僕はMTR(マルチトラックレコーダー)でひたすらギターを録音したり、小さな画面でドラムを打ち込んでいたのが懐かしい。
それが今じゃパソコン一台あればどんな楽器も奏でられるんだからすごいなあ。
前置きはこの辺にして…
つい最近コミケで頒布したばかりの『Mirage』というアルバムの僕が作曲した「PAINLESS」という楽曲製作解説と共に、普段どんな方法で曲製作をしているか記事にしてみた。
MiLa VOXX PEEPS
年始にスタートした企画、ボーカル[MiLa]さんの才能を引き出す為に集結した『MiLa VOXX PEEPS』。普段はYoutubeで実写映像の歌ってみた動画を投稿しているが、コミケに初参戦しよう!という事で3人で音源製作スタート。
僕が担当したその1曲目が『PAINLESS』という楽曲だ。(自分の中ではリード曲的な立ち居地)
構想としてはMiLaさんのボーイッシュなカッコよさを生かせるロックサウンドとシンセが絡む、所謂”イマドキ”な感じを出したかった。
作り始め
僕の作曲方法は数パターンある。
・ギターリフ(イントロ)から作る
・サビメロから作ってA→Bを組み立てる
・ドラムを先にワンコーラス分打ち込む
・トイレに篭ってる時に神メロが降りる
どこでインスピレーションが働くか自分でも謎だ。ギターからなのか、ピアノからなのか、はたまたトイレからなのか…
ドラムから先の場合は殆どライブで乗せたいノリがある時や構成が頭の中でハッキリしてる時だ。
今回の楽曲は”少し切ないメロ”を出したかったのでスタンダードにピアノで最初にメロ作りをした。
本チャンでも使用したピアノ音源[PIANOTEQ5]
軽いのにニュアンスをしっかり出してくれるのでデモから完成品まで一貫して使用している。
切なさが際立つようにAやサビ前の静かなセクションなど所々うっすら聞こえる程度に鳴らしている。
リズム隊
続いてはリズム隊。
ドラムは[SSD5]を使用。SSD5の初期プリセットでもゴリゴリなロックドラムなのだが、もっと踏み込んだサウンドにしたかったので更にトリガーを噛ましている。
キック、スネア、タム×3でブレンド値もほぼトリガーの音色が強め。
今回ベースは新調したばかりの[Inferno Bass]を使用した。このベース音源はAMPとDIのサウンドが独立しているすこし特殊な音源。
サウンドの特徴は分かりやすく言うと「DINGWALLにダークグラス挿したようなTHEイマドキメタルサウンド」
Inferno BassだけだとゴリゴリすぎたのでMODOBASSもブレンドしている。
ギター
バッキングや基本的な歪みはすべてPRSに[BIAS Amp2]のプリセットを少し弄って使用。
随所で鳴っているワウギターは[Guitar Rig]のREAL WAHを挿し、オートメーションでペダルを動かしている。(※Track2のFLUSH OUTでかなり多用したので聴いてほしい)
EQを見てビックリされるかも知れないがちゃんと理由があってここまで極端にカットしているので問い詰めないで欲しい…
歪み系のベースやボーカルの帯域を考慮した結果がこれです。
上モノ(シンセ)
イントロなどで鳴っているリードシンセは[Hive2]と[AVENGER]をブレンドして音圧を稼いでる。
ミックス中にサビのインパクトさが足りないなあと感じたのでサビにもうっすらHive2でバッキングシンセを足してみた。
“切ないメロ”を重視したかったのでそこまでシンセで主張しないように、所々で「鳴ってる」くらいになるように調整してみた。
ボーカル収録
ボーカルのRecは友人が開業したばかりの『スタジオAd libitum』にて収録させていただきました。
マイクはAntelope Audioの[Edge Solo]
IFはAntelope Audioの[Goliath]とマイクプリにRupert Neve Designsの[5211]とかなりイイ環境でRecさせて頂き感謝。
5211の音抜けの良さと程よいサーチュレーションが絶対声質に合うと考えていたのでいい結果が出せたのでは。
まとめ
以上、かなりざっくりになってしまったが『PAINLESS』の製作解説。ほぼプラグインなどの説明になってしまった…
ミックス解説もしたかったけどそれはまたの機会に。